Blenderを始めたいけれど、どのくらいのPCスペックが必要か分からずお困りではありませんか?
この記事では、Blenderの最低・推奨・最高スペックについて、公式情報と実例に基づいて詳しく解説します。
自分の用途に合った最適なPC選びをするために、参考にしてみてください。
Blender 3Dとは|無料で使える本格的3DCGソフト

Blenderは、オープンソースの3DCGソフトウェアとして世界中で利用されています。
モデリング、アニメーション、レンダリング、シミュレーション、動画編集など、3DCG制作に必要な機能がすべて揃っています。
最大の特徴は完全無料で使えることです。
商用利用も可能で、有料ソフトに引けを取らないプロレベルの制作ができます。
Blender公式サイトによると、年間1,400万回以上ダウンロードされており、企業での導入も年々増えています。
ただし、高機能な3DCGソフトであるため、快適に使うには適切なPCスペックが必要です。
スペック不足だと作業中にフリーズしたり、レンダリングに膨大な時間がかかったりします。
Blender 3Dの推奨スペック|最低・推奨・最高の3段階を解説
Blenderのスペックは用途に応じて3段階に分けて考えると選びやすくなります。
学習用途なのか、趣味での制作なのか、プロとして商業制作をするのかで必要なスペックが大きく変わります。
自分の用途に合ったレベルを選ぶことで、コストパフォーマンスの高いPC選びができます。
最低スペック|動作はするが作業は限定的
Blender公式が示す最低スペックは、あくまでソフトが起動できる最低限の基準です。
このスペックでもBlenderは動きますが、複雑な作業は難しく、フリーズのリスクも高くなります。
| 項目 | 最低スペック |
|---|---|
| CPU | 64bit・4コア(SSE4.2対応) |
| メモリ | 8GB |
| GPU | 2GB VRAM・OpenGL 4.3対応 |
| ストレージ | 500MB以上 |
| OS | Windows 8.1以降/macOS 11.2以降 |
このスペックでできることは、シンプルなモデリングとBlenderの基本操作の学習です。
低ポリゴンのモデル作成や、Blenderの機能を試す程度の用途には使えます。
一方でできないことは、複雑なレンダリング、高ポリゴンモデルの作成、アニメーション制作です。
メモリ8GBでは他のアプリを同時に開くとすぐに容量不足になり、作業中に頻繁にフリーズする可能性があります。
最低スペックは「初めてBlenderに触れる学習初期」や「予算が極めて限られている場合」のみ選ぶべきです。
本格的な制作を目指すなら、次の推奨スペック以上を選びましょう。
推奨スペック|快適に使える標準的な性能
Blender公式が推奨するスペックは、多くのユーザーにとって快適に作業できる標準的なレベルです。
一般的なモデリング、テクスチャ設定、レンダリングが十分にこなせます。
| 項目 | 推奨スペック |
|---|---|
| CPU | 64bit・8コア |
| メモリ | 32GB |
| GPU | 8GB VRAM(RTX 3050以上推奨) |
| ストレージ | SSD 500GB以上 |
| OS | Windows 10/11/macOS 13以降 |
推奨スペックでは、中規模のシーン制作、アニメーション作成、Cyclesでのレンダリングが快適に行えます。
複数のアプリケーションを同時に開いても安定して動作し、作業効率が大幅に向上します。
最低スペックとの体感的な違いは、フリーズ頻度の大幅な減少と、レンダリング時間の短縮です。
メモリが32GBあることで、ブラウザで資料を見ながら作業したり、PhotoshopやIllustratorを同時に開いたりしても余裕があります。
趣味でBlenderを楽しみたい方、フリーランスとして作品制作をしたい方、専門学校や大学でCGを学ぶ学生の方には、この推奨スペックがおすすめです。
コストと性能のバランスが最も優れています。
最高スペック|プロレベルの本格制作向け
プロレベルの大規模制作や、4Kレンダリング、商業制作を行う場合は、推奨スペックを超えるハイエンドな構成が必要です。
| 項目 | 最高スペック |
|---|---|
| CPU | 16コア以上(Core i9 / Ryzen 9クラス) |
| メモリ | 64GB以上 |
| GPU | 12GB VRAM以上(RTX 4070以上) |
| ストレージ | SSD 1TB以上(NVMe推奨) |
| OS | Windows 11 Pro/macOS最新版 |
このスペックが必要な作業は、大規模シーンのレンダリング、4K以上の高解像度制作、複雑な流体・煙シミュレーション、商業映像制作などです。
ハリウッド映画のVFXや、広告映像の制作現場で使われるレベルです。
推奨スペックとの違いは、レンダリング時間が大幅に短縮されることと、同時に複数のプロジェクトを開いても余裕があることです。
数時間かかるレンダリングが数十分で完了するため、制作スピードが格段に上がります。
ただし、初期投資は高額になります。趣味や学習段階では必要ありません。
プロとして収益を得ている方、制作会社でBlenderを使う方、時間効率を最優先したい方が選ぶべきスペックです。
Blender 3D各パーツの推奨スペック詳細|CPU・メモリ・GPU・ストレージ
Blenderの快適性は、各パーツの性能バランスで決まります。
どのパーツがどの機能に影響するかを理解すれば、自分の用途に最適な構成を選べます。
CPU|最小4コア・推奨8コアでレンダリング速度が変わる
CPUはBlenderのレンダリング速度、シミュレーション処理、アニメーション計算に大きく影響します。
BlenderはマルチコアCPUに最適化されているため、4コアと8コアでは体感速度が大きく変わります。
複数情報源によると、8コアCPUは4コアの約2倍近いレンダリング速度を発揮します。
- Intel製CPU:Core i7-14700(20コア)、Core i9-14900(24コア)が高性能
- AMD製CPU:Ryzen 7 9700X(8コア)、Ryzen 9 9900X(12コア)がコスパ良好
- 用途別:学習用途なら8コア、本格制作なら12コア以上を推奨
CPUレンダリングとGPUレンダリングの使い分けも重要です。
Cyclesエンジンでは両方選択でき、GPUの方が高速ですが、CPUでしかレンダリングできない状況もあります。
バランスの取れたCPU選びが快適な制作環境につながります。
メモリ|最小8GB・推奨32GBが作業範囲を左右
メモリは作業中のデータを一時保存する役割を持ち、容量が不足するとBlenderが強制終了やフリーズを起こします。
メモリはBlenderにとって最も重要なパーツの一つです。
メモリ不足時の典型的な症状は、複雑なシーンを開くとフリーズする、レンダリング中に強制終了する、保存していない作業が失われる、といった深刻な問題です。
容量別の作業可能範囲は以下の通りです。
8GBではシンプルなモデリングのみ、16GBで一般的なモデリングとテクスチャ設定、32GBで複雑なシーンとレンダリング、64GB以上で商業レベルの大規模制作が快適に行えます。
Blenderは他のソフトと並行して使うことが多く、ブラウザでチュートリアルを見たり、Photoshopでテクスチャを編集したりする際にもメモリを消費します。
Windows OSだけで4GB程度使うため、最低でも16GB、できれば32GB以上を確保しましょう。
メモリは後から増設しやすいパーツです。
初期投資を抑えたい場合は16GBでスタートし、必要に応じて32GBに増設する方法もあります。
ただし、ノートPCは増設に制限がある場合が多いので注意が必要です。
GPU(グラフィックボード)|RTX3050以上でレンダリング高速化
GPUはレンダリング速度とビューポート表示の快適性に大きく影響します。
BlenderのCyclesエンジンはGPUレンダリングに対応しており、CPUレンダリングと比べて数倍高速です。
NVIDIA RTXシリーズがBlenderに最適です。RTX 3050は8GB VRAMを搭載したエントリーモデルで、趣味での制作には十分な性能があります。
RTX 4060はRTX 3050の約1.5倍の性能を持ち、より快適です。
- NVIDIA RTXシリーズ:RTX 3050(8GB)、RTX 4060(8GB)、RTX 4070(12GB)がおすすめ
- AMD Radeonシリーズ:RX 6900 XT、RX 7900 GREも対応可能
- VRAM容量:8GB以上を推奨、12GB以上あれば大規模シーンも快適
AMD Radeonシリーズも使えますが、NVIDIAの方がBlenderとの相性が良く、最適化が進んでいます。
特にRTXシリーズのOptiXレンダリングは高速で、多くのプロクリエイターが採用しています。
GPUレンダリングとCPUレンダリングの速度差は顕著です。
同じシーンのレンダリングで、RTX 4060を使えばCPUレンダリングの3〜5倍高速になるケースもあります。
時間効率を重視するなら、GPU投資は必須です。
ストレージ|SSD+HDD併用で読み込み速度と容量を確保
ストレージはBlenderの起動速度、プロジェクトファイルの読み込み・保存速度に影響します。
SSDとHDDの違いを理解し、用途に応じて使い分けることが重要です。
SSDは読み書き速度が非常に速く、Blenderの起動が数秒で完了し、大きなプロジェクトファイルもすぐに開けます。一方、HDDは大容量で安価ですが、速度はSSDの5分の1程度です。
この構成なら速度と容量を両立できます。
ストレージ容量不足時の対処法は、外付けHDDの追加や、クラウドストレージの活用です。
NVMe接続のSSDを選ぶと、通常のSATA接続SSDよりさらに高速で、大規模プロジェクトでも快適に作業できます。
パーツの重要度ランキング|優先すべきスペックはどれ?
予算に制約がある場合、どのパーツを優先すべきか迷いますよね。
複数の専門情報源と実例から、Blenderでのパーツ重要度をランキング形式で解説します。
第1位:メモリ|不足するとフリーズや強制終了の原因に
メモリが最優先である理由は、不足時に作業そのものができなくなるからです。
CPUやGPUの性能が低くても作業は遅いだけで済みますが、メモリ不足はBlenderの強制終了を招き、保存していない作業が失われます。
具体的な不具合事例として、複雑なシーンを開いた瞬間にフリーズ、レンダリング開始直後に強制終了、複数のテクスチャを読み込むとメモリ不足エラーが発生、といった致命的な問題が報告されています。
最低限確保すべきメモリ容量は16GBです。
32GB以上あれば、ほとんどの作業で不足を感じることはありません。予算が限られている場合でも、メモリだけは削らないことが重要です。
メモリ優先投資のメリットは、後から他のパーツをアップグレードする際も、メモリが十分なら安定して動作することです。
まずメモリを確保し、次にCPU、その次にGPUの順で投資するのが賢明です。
第2位:CPU|レンダリングとシミュレーション速度に影響
CPUが2位である理由は、作業時間に直結するからです。
メモリは安定性、CPUは速度という違いがあります。CPU性能が高いほど、レンダリングやシミュレーションが速く完了します。
CPU性能不足時の影響は、レンダリングに数時間かかる、流体シミュレーションが遅すぎて調整が困難、プレビュー表示が遅い、といった時間的なロスです。
作業自体はできますが、効率が大幅に下がります。
メモリ確保後のCPU投資が推奨されます。
例えば、予算15万円なら、メモリ32GB確保(約2万円)、残り13万円でCPU・GPU・その他を配分する考え方です。
コスパの良いCPU選択肢は、Intel Core i7-14700やAMD Ryzen 7 9700Xです。これらは8コア以上で、Blenderの推奨スペックを満たし、価格も比較的手頃です。
第3位:GPU|レンダリング高速化とビューポート表示に貢献
GPUが3位である理由は、CPUレンダリングでも作業可能だからです。
GPUは「あれば便利」ですが、必須ではありません。ただし、GPUがあると作業効率は格段に向上します。
GPU投資のメリットは、レンダリング時間が3〜5倍高速になる、ビューポートでのプレビューが滑らかになる、リアルタイムレンダリングが可能になる、といった快適性の向上です。
メモリ・CPU確保後のGPU投資が理想的です。
予算配分の例として、メモリ32GB(2万円)、CPU 8コア(4万円)、GPU RTX 4060(5万円)、その他4万円で合計15万円の構成が考えられます。
予算別のGPU選択肢は、5万円以下ならRTX 3050、7万円以下ならRTX 4060、10万円以下ならRTX 4070が目安です。
第4位:ストレージ|起動速度と保存容量に関わる
ストレージが4位である理由は、致命的な影響が少ないからです。
読み込みが遅くても待てば済みますし、容量不足は外付けドライブで対応できます。他のパーツと比べて後回しにできる部分です。
最低限必要なストレージ容量は、SSD 256GB(Blender本体と作業用)です。
ただし、快適性を考えるとSSD 500GB以上を推奨します。HDD併用なら、SSD 500GB + HDD 1TBの構成が理想的です。
後から増設可能な点も、ストレージが4位の理由です。デスクトップPCなら簡単に追加できますし、外付けHDDも安価に入手できます。
初期投資を抑えたい場合は、ストレージは最小限にして他のパーツを優先しましょう。
メモリ容量別でできること|8GB・16GB・32GBの違いを実例で比較
メモリ容量が作業範囲を決める最大の要因です。
同じBlenderでも、8GB・16GB・32GBでできることが大きく変わります。各容量で実際にどんな作業ができるのか、具体的な実例とともに解説します。
8GBメモリ|シンプルなモデリングのみ可能・フリーズリスク高
8GBメモリで可能な作業は、シンプルなモデリングと基本的なBlender操作の学習です。
低ポリゴンのモデル作成、基本的なマテリアル設定、チュートリアル動画を見ながらの練習には使えます。
8GBメモリの限界は、複雑なシーン・大量のテクスチャ・アニメーション制作・レンダリング時のフリーズです。
Windows OSとBlenderだけで6GB程度消費するため、残り2GBしかありません。
ブラウザを開くだけで容量不足になります。
作業中に突然フリーズし、保存していないデータが失われる経験をしたくない方は、最低でも16GBを選びましょう。
8GBを選ぶべきケースは、完全な学習初期で数週間だけBlenderを試したい場合、既存PCが8GBでメモリ増設予定がある場合、極めて予算が限られている場合のみです。
本格的に学ぶなら避けるべき容量です。
16GBメモリ|一通りのモデリングとテクスチャ設定が可能
16GBメモリで可能な作業は、一般的なモデリング、テクスチャ設定、シンプルなアニメーション、中規模シーンのレンダリングです。
趣味でBlenderを楽しむには十分な容量で、多くの初心者〜中級者が選ぶ標準ラインです。
8GBとの違いは、フリーズ頻度の大幅な減少と安定性の向上です。
複数のアプリを同時に開いても余裕があり、ブラウザでチュートリアルを見ながら作業できます。作業中のストレスが格段に減ります。
16GBで快適にできる具体的な作業例は、キャラクターモデルの作成、家具や建築物のモデリング、UVマッピングとテクスチャペイント、10〜20秒程度のアニメーション制作です。
16GBが標準的な推奨容量である理由は、コストと性能のバランスが最も優れているからです。
32GBメモリ|レンダリング・アニメーション制作も快適
32GBメモリで可能な作業は、大規模シーンのレンダリング、長時間アニメーション制作、複雑な流体シミュレーション、4Kテクスチャを使った高品質モデルです。
プロレベルの制作が快適に行えます。
16GBとの違いは、複雑なシーンでも安定して動作する、同時に複数のプロジェクトを開ける、ブラウザ・Photoshop・Blenderを全て同時起動できる、といった余裕です。
作業の自由度が大幅に広がります。
32GBで快適にできる具体的な作業例は、商業レベルの映像制作、数分間のアニメーション作品、高解像度レンダリング、複数キャラクターが登場する複雑なシーンです。
32GB投資のコストパフォーマンスは、プロ志向の方には非常に高いです。
フリーランスとして収益を得たい、作品コンテストに応募したい、就職ポートフォリオを作りたい方には32GBが理想的です。
16GBからの差額は約1万円で、得られる快適性は大きいです。
Blender 3D用PC選びの5つの重要ポイント
PC購入時に失敗しないための5つのチェックポイントを解説します。
これらのポイントを押さえておけば、後悔しないPC選びができます。特に初めてBlender用PCを購入する方は、必ず確認してください。
CPU性能とメモリ容量を最優先で選ぶ
パーツ選びの優先順位は、メモリ→CPU→GPU→ストレージです。
これは重要度ランキングで解説した通り、メモリとCPUが作業の安定性と効率に最も影響するからです。
GPU等を削ってでもメモリとCPUを確保すべき理由は、GPUレンダリングはCPUレンダリングで代替できますが、メモリ不足は代替手段がないからです。
時間はかかっても作業はできる状態と、フリーズして作業できない状態では、後者の方が致命的です。
具体的な選択例として、予算15万円の場合、メモリ32GB(2万円)、CPU 8コア(4万円)、GPU RTX 3050(4万円)、その他5万円という配分が理想的です。
GPU を削って RTX 3050にしても、メモリとCPUを確保する方が賢明です。
失敗しやすい選び方は、GPU優先でRTX 4070を選び、メモリ16GB・CPU 4コアにしてしまうパターンです。
GPUが高性能でもメモリ不足でフリーズするなら意味がありません。
メモリ増設可能なモデルを選んで将来に備える
メモリ増設可能モデルの重要性は、スキル向上に伴う増設ニーズに対応できることです。
Blenderを学び始めたばかりの段階では16GBで足りても、複雑な作品を作るようになると32GBが必要になります。
増設可能かどうかの確認方法は、製品スペックで「メモリスロット数」と「最大搭載容量」を見ることです。デスクトップPCなら4スロット・最大128GBなど余裕がありますが、ノートPCは2スロット・最大32GBなど制限があります。
増設可能モデルのメリットは、初期投資を抑えつつ将来のアップグレードに対応できることです。
増設不可モデルのリスクは、容量不足になったときに買い替えしかないことです。10〜15万円のPCを数年で買い替えるのは大きな出費です。メモリスロットの空きがあるモデルを選びましょう。
NVIDIA GeForceまたはAMD Radeon搭載を選ぶ
NVIDIA・AMD推奨の理由は、BlenderのCyclesエンジンがこれらのGPUに最適化されているからです。
Intel内蔵GPUや古いGPUでは、GPUレンダリングが使えないか、極端に遅い場合があります。
非推奨GPUのリスクは、Cyclesでレンダリング非対応、ビューポート表示が不安定、一部機能が使えない、といった問題です。せっかくPCを買っても、GPUが対応していないと快適に使えません。
推奨GPU製品名は、NVIDIA GeForce RTX 3050以上、AMD Radeon RX 6900 XT以上です。
RTXシリーズのOptiXレンダリングは特に高速で、多くのプロが採用しています。
GPU選びのチェックポイントは、製品ページで「NVIDIA GeForce」または「AMD Radeon」が明記されているか確認することです。
BTOパソコンでカスタマイズも視野に入れる
BTOパソコンのメリットは、自分の用途に合わせてパーツをカスタマイズでき、コストパフォーマンスが高いことです。
メーカー製PCは構成が固定ですが、BTOなら「メモリ32GB・GPU RTX 4060・SSD 1TB」といった自由な組み合わせができます。
主要BTOメーカーは、マウスコンピューター、ドスパラ、パソコン工房、サイコムなどです。
これらのメーカーはBlender向けの構成も提案しており、初心者でも選びやすくなっています。
基本構成から少しカスタマイズするだけで、快適性が大きく向上します。
BTOの注意点は、注文から納品まで1〜2週間かかることと、店舗が限られることです。
ただし、カスタマイズの自由度と価格を考えると、Blender用PCはBTOが最適な選択肢です。
仕事も遊びも学習も。
\ドスパラのゲーミングPCで、毎日をもっと快適に!/
推奨スペック以上を選んで長期的な快適性を確保
推奨スペック以上を選ぶ理由は、スキル向上・Blenderバージョンアップ対応・長期使用のためです。
最低スペックで購入すると、数ヶ月後には物足りなくなり、買い替えコストがかかります。
最低スペックのリスクは、すぐに限界が来る、作りたい作品が作れない、ストレスで学習意欲が下がる、数年で買い替えが必要になる、といった問題です。
トータルコストで見ると、推奨スペックの方が安上がりです。
長期的なコストパフォーマンスを考えると、推奨スペック(CPU 8コア・メモリ32GB・GPU RTX 4060)なら5年以上快適に使えます。
投資の目安は、学習用途でも最低15万円、本格制作なら20〜25万円です。
高額に感じるかもしれませんが、長期間使える道具への投資と考えれば妥当な金額です。
ノートPCとデスクトップPCどちらを選ぶべきか
ノートPCとデスクトップPC、どちらを選ぶかは使用環境によって決まります。
持ち運びを重視するならノートPC、性能と拡張性を重視するならデスクトップPCが適しています。
それぞれのメリット・デメリットを理解して選びましょう。
ノートPC|持ち運び重視だがパーツ交換に制限あり
ノートPCの具体的なメリットは、学校や図書館に持ち運べる、省スペースで設置場所を選ばない、モニター・キーボードが一体型で追加購入不要、といった点です。
ノートPCの具体的なデメリットは、パーツ交換がほぼ不可能(メモリ増設も制限あり)、冷却性能が低く長時間レンダリングで発熱、同性能のデスクトップPCより価格が高い、画面サイズが限られる(15〜17インチが主流)、といった制約です。
ノートPCを選ぶべき人は、学生で学校に持っていく必要がある、自宅に設置スペースがない、外出先でも作業したい、といったケースです。
ただし、Blender用途では高性能ノートPCが必要で、予算20万円以上は見込んでおきましょう。
ノートPCの限界は、長時間レンダリング時の発熱で性能低下、拡張性がないため将来のアップグレード不可、冷却ファンの騒音が大きい、といった問題です。
本格的な制作をするなら、これらの制約を理解した上で選ぶ必要があります。
デスクトップPC|拡張性と冷却性能で長期利用に有利
デスクトップPCの具体的なメリットは、パーツ交換・増設が自由にできる、冷却性能が高く安定動作、同価格でノートPCより高性能、大型モニターを自由に選べる、長時間レンダリングも安心、といった点です。
デスクトップPCの具体的なデメリットは、設置スペースが必要(本体・モニター・キーボード・マウス)、持ち運び不可、モニター等を別途購入する必要がある、といった点です。自宅に専用スペースを確保できる方向けです。
デスクトップPCを選ぶべき人は、自宅メインで作業する、本格的な制作をしたい、長期間使いたい、将来的にパーツをアップグレードしたい、といった方です。
プロを目指す方やフリーランス志望の方には、デスクトップPCを強く推奨します。
デスクトップPCの長期的なコストパフォーマンスは非常に高いです。メモリ増設・GPU交換・SSD追加など、必要に応じてアップグレードできるため、5〜7年は使い続けられます。トータルコストで見ると、ノートPCを数年ごとに買い替えるより経済的です。
ノートPC選びの注意点|ディスプレイ・GPU・冷却性能
ノートPCを選ぶ際は、ディスプレイ・GPU・冷却性能の3点を特に注意してチェックする必要があります。これらの要素がBlenderの快適性を大きく左右します。
ディスプレイの推奨スペックは、解像度1920×1080(フルHD)以上、できれば2560×1440(WQHD)が理想的です。色域sRGB 100%カバー以上あれば、テクスチャの色を正確に確認できます。
GPU選びの注意点は、下記になります。
・NVIDIA GeForce RTX搭載を確認する。
・最低でもRTX 3050以上を選ぶ。
・VRAM 8GB以上を確保する。
「Intel内蔵グラフィックス」だけのノートPCは、Blender用途では性能不足です。
冷却性能の確認方法は、製品レビューで「発熱」「ファン騒音」の評価を見ること、できれば店頭で実機を触って熱を確認することです。
薄型ノートPCは冷却性能が低く、長時間レンダリングで熱暴走するリスクがあります。
ゲーミングノートPCは冷却性能が高く、Blender用途にも適しています。
WindowsとMacどちらがBlender 3Dに最適か
OS選択はBlenderの性能に大きく影響します。WindowsとMacでは対応GPUが異なり、レンダリング速度に差が出ます。
結論から言うと、Blender用途ではWindowsが最適です。その理由を解説します。
WindowsはNVIDIA GPU対応でレンダリング高速
WindowsのメリットはNVIDIA GeForce RTXシリーズに完全対応していることです。
RTXシリーズのOptiXレンダリングは、Blenderで最も高速なレンダリング方法の一つです。
NVIDIA GPUレンダリング(Cycles)の高速性は、CPUレンダリングの3〜5倍、AMD GPUレンダリングの1.5〜2倍です。
Windows推奨の理由は、汎用性(ゲームや他のソフトも快適)、価格(同性能のMacより安価)、カスタマイズ性(BTOで自由に構成可能)、パーツ交換・増設の容易さ、といった点です。
BlenderだけでなくPC全体の使い勝手でもWindowsが有利です。
MacはAMD GPUのみで処理速度に制限がある
MacのデメリットはAMD GPUのみ対応で、NVIDIA GeForce RTXが使えないことです。
MacのGPUはAMD RadeonシリーズまたはApple Silicon内蔵GPUのみで、OptiXレンダリングが利用できません。
AMD GPUの処理速度制限は、NVIDIA RTXと比べてレンダリングが1.5〜2倍遅いことです。
同じ作品を作る場合、Macではより多くの時間がかかります。特に複雑なシーンや長時間アニメーションでは、この差が大きく響きます。
Macを選ぶべきケースは、既存MacをBlender用途に活用したい、他のAppleソフト(Final Cut Pro・Logic Pro等)と併用する、macOSの操作性を優先したい、といった場合です。
ただし、Blenderの性能を最大限引き出すには不向きです。
Mac使用時の注意点は、Blender 5.0以降でIntel Mac非対応になること、Apple Silicon(M1・M2・M3チップ)搭載Macを選ぶこと、メモリ増設不可のため最初から32GB以上を選ぶこと、です。
Blender 3D推奨スペックに関するよくある質問
Blenderのスペックについて、初心者がよく抱く疑問に答えます。これらの質問を読めば、記事で解説しきれなかった細かい疑問も解消できます。
- GPUレンダリングとCPUレンダリングはどちらが速い?
-
GPUレンダリングの方が圧倒的に速いです。NVIDIA RTX 4060を使った場合、CPUレンダリングの3〜5倍高速にレンダリングできます。
ただし、GPUレンダリングにはNVIDIA GeForce RTXまたはAMD Radeonが必要です。
予算に余裕があれば、GPUレンダリング対応のグラフィックボード搭載PCを選びましょう。CPUのみでも作業は可能ですが、レンダリング時間が大幅に長くなることを覚悟してください。
- 最低スペック8GBでも実用的に使える?
-
学習用途なら使えますが、本格制作は厳しいです。
8GBでは、シンプルなモデリングと基本操作の学習は可能ですが、複雑なシーンやレンダリングではメモリ不足でフリーズします。
Windows OSとBlenderだけで6GB程度消費するため、ブラウザを開くだけで容量不足になります。数週間の学習期間を経て本格的に取り組むなら、最低でも16GB、できれば32GBのメモリを推奨します。
- グラフィックボードなしでもBlenderは動く?
-
動作はしますが快適性に大きな制限があります。CPUの内蔵グラフィックスでもBlenderは起動できますが、GPUレンダリングが使えず、ビューポート表示も遅くなります。
CPUレンダリングで対応は可能ですが、時間が3〜5倍かかります。学習初期なら内蔵グラフィックスでも何とかなりますが、本格的に作品を作るならNVIDIA GeForce RTX 3050以上の搭載を強く推奨します。
- 予算10万円以内でBlenderが使えるPCはある?
-
学習用途なら可能ですが、推奨スペックは厳しいです。10万円以内では、CPU 8コア・メモリ16GB・GPU非搭載、または中古PCという選択肢になります。
BTOメーカーのエントリーモデルや、型落ちゲーミングPCの中古品なら、ギリギリBlenderが動く構成が見つかる可能性があります。
ただし、快適性は期待できません。予算内での優先配分は、メモリ16GB確保を最優先し、CPUは6コア以上、GPUは後から外付けで追加する計画も検討しましょう。将来のアップグレードを見越して、拡張性のあるデスクトップPCを選ぶことをおすすめします。
まとめ
まずは自分の用途(学習・趣味・プロ志向)を明確にし、それに合った推奨スペックのPC選定から始めることをおすすめします。
予算に制約がある場合でも、メモリとCPUだけは妥協せず、将来のアップグレードを見越したPC選びを心がけてください。



